リプロダクション外来

リプロ外来

リプロダクション外来のご挨拶

リプロ外来

不妊症とは、避妊をせずに通常の性生活を続けているにもかかわらず、1年以上妊娠に至らない状態を指します。

なお、35歳以上の方では妊娠率の低下を考慮し、不妊期間が6ヶ月を超えた時点での受診が推奨されています。

近年、不妊に悩むご夫婦は増加しており、世界では約4.4組に1組が不妊を経験するといわれています。妊娠は自然に起こるものと思われがちですが、実際には多くの条件が整うことで成立する、とても繊細なプロセスです。

また、不妊の原因は女性だけでなく男性にもあります。原因の割合は、女性因子が約41%、男性因子が約24%、男女双方に因子がある場合が約24%とされており、ご夫婦で一緒に検査や治療に取り組むことが大切です。

当院では、まず「妊娠がどのように成立するのか」、そして「そのプロセスのどこに原因が隠れている可能性があるのか」を理解していただくことを大切にしています。患者さまそれぞれの背景やご希望を踏まえながら、適切な検査・治療をご提案し、妊娠までの道のりをサポートいたします。

  

妊娠が成立するまでの仕組みと流れ

リプロ

  

①脳と卵巣のホルモン調節

脳の視床下部・下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されると、卵胞が育ち始め卵子を育てます。

成熟した卵胞から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)は、子宮内膜を厚くします。さらに「LHサージ」が起こり、排卵が誘発されます。

排卵後の卵胞は黄体へと変化し、プロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌して、着床しやすい子宮環境を整えます。

② 排卵

卵巣から成熟した卵子が排出されることを「排卵」といいます。

③ 精子の移動と受精

卵管内で卵子と精子が出会うことで受精が起こり、受精卵が誕生します。

④ 細胞分裂と子宮への移動

受精卵は卵管内で細胞分裂を繰り返しながら、数日かけて子宮へと運ばれます。

⑤ 着床(妊娠の成立)

子宮に到達した受精卵が子宮内膜にもぐり込み、根付くことを「着床」といいます。

着床が完了して初めて妊娠が成立します。

大切なのは「出会いのタイミング」

卵子と精子には、それぞれ受精できる限られた時間があります。

卵子の寿命
約 24 時間
精子の寿命
約 72 時間
この限られた時間の中で適切なタイミングで出会うことが、
妊娠成立への大切な第一歩となります。

不妊の原因について

妊娠成立までには多くのステップがあり、そのどこかに障害があると妊娠しにくくなります。

女性側の主な原因

女性側では、排卵障害、卵管障害、子宮因子、子宮内膜症など様々な原因が考えられます。

一方で、検査を行っても原因が特定できない「原因不明不妊」も少なくありません。

原因不明の不妊

・卵管が卵子を取り込む「ピックアップ機能」
・卵子そのものの質や染色体異常
・受精障害の一部

男性側の主な原因

造精機能障害、精路通過障害、性機能障害など様々な原因が考えられます。

これらは通常の不妊検査だけでは評価できず、体外受精を行うことで初めて明らかになる場合があります。

当院で行う不妊検査

妊娠成立のどの段階に問題があるのかを確認するため、以下の検査を行います。検査結果を総合的に評価し、お二人に最適な治療方針を提案します。

女性側の検査

〇月経周期に合わせて行う検査

月経2~5日目に行う検査 (卵胞期)

  • 基礎体温測定(ご自身で毎日測定していただきます)
  • 基本ホルモン検査:
    FSH・LH・エストロゲン・TRH負荷試験
  • 超音波検査
*卵胞期の特徴
卵胞期の初期は月経期でもあります。この時期は、卵胞が成長するためのFSHが活発に分泌されます。
また、卵胞が成長するにつれてエストロゲンの分泌量も増え、子宮内膜が厚くなっていきます.
  • ■ FSH(卵胞ホルモン)検査 / 卵胞を成長させるためのホルモン
    卵巣機能の確認のために行います。
  • ■ LH(黄体化ホルモン)検査 / 卵胞を成熟させ、排卵の引き金をひくホルモン
    排卵障害や多のう胞性卵巣(PCOS)の確認のために行います. 正常な卵巣と多嚢胞性卵巣の比較
  • ■ E2:エストロゲン(卵胞ホルモン)検査
    月経中のエストロゲンは月経周期の中で一番低い値になっています。10~50pg/ml程度であれば正常と言われています.
  • ■ TRH負荷試験
    潜在性高プロラクチン血症を診断する検査です。潜在性高プロラクチン血症とは日中はプロラクチン値が正常なのに夜間になると上昇する疾患です。排卵障害や月経不順を起こす原因となります。まず採血をし、TRH注射液を静脈注射したのち15分後、30分後にも採血を行います.
  • ■ 超音波(エコー)検査
    これから発育する卵胞の数(胞状卵胞数)や大きさ、子宮の状態や卵巣の状態を確認します.

月経7~10日目に行う検査

  • 子宮卵管造影:HSG
  • ソノヒステログラフィー
  • ■ 子宮卵管造影検査(HSG)
    専用のカテーテルを使用し腟から卵管へ造影剤を注入して子宮の内腔の形や卵管の通過性を調べます。当院では造影剤を注入してレントゲン撮影する方法を行っています。当院では初回は水溶性の造影剤を使用します。卵管のクリーニングになるので検査後2~3周期は妊娠しやすくなる方もいます. 子宮卵管造影検査(HSG)
  • ■ ソノヒステログラフィー
    卵管造影で使用するカテーテルを使用し子宮の中に生理食塩水を注入し、超音波で子宮内腔を観察する検査です。子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫などの病変を確認するために行われます.

月経12~15日目に行う検査 (排卵期)

  • 排卵前ホルモン検査:
    「エストロゲン・LH・プロゲステロン」または尿中LH
  • フーナーテスト(性交後試験)
  • 子宮頸管粘液検査
  • 超音波検査
*排卵期の特徴
排卵期は、十分に育った卵胞が成熟し、卵巣から卵子が排卵される時期です。排卵された卵子は、卵管采によって卵管へとり込まれ、卵管膨大部で精子と出会い受精する時期です.
  • ■E2:エストロゲン(卵胞ホルモン)検査 、LH(黄体化ホルモン)検査、P4:プロゲステロン(黄体ホルモン)
    排卵の予測のために行います
  • ■ 子宮頚管粘液検査
    排卵期以外は、精子であっても子宮腔内に入ることはできません。この時期だけ子宮頚管粘液の分泌量が増え、性状がサラサラとした状態に変化し、精子が子宮へと入りやすくなります。この量や透明度、粘り気の具合を調べます。
  • ■ フーナーテスト
    性交後検査ともいいます。排卵期に性生活(検査当日の朝、または前夜)を行った後、子宮頚管粘液を採取し、顕微鏡で状態を観察して運動精子の数を調べます。運動精子が多数確認できれば、子宮腔内へと上がって行っていると判断し、ゼロの場合には抗精子抗体が疑われますが、その場合は数回の検査が必要になることもあります.
  • ■ 超音波検査
    卵胞の大きさを測定し、子宮内膜の厚さなどを診ます。排卵頃の卵胞は約20ミリ以上に育つことから、排卵日を予測していきます.

排卵後1週間前後に行う検査 (黄体期)

  • 黄体機能検査:エストロゲン・プロゲステロン
  • 超音波検査
*黄体期の特徴
黄体期は、受精した胚が成長し、子宮内膜に着床していく時期です。黄体は約2週間働き、着床が完了しなければ白体に変化し、黄体ホルモンによって維持されていた子宮内膜は剥がれ月経がきます。一方、着床が完了すると、黄体は妊娠黄体になり、ますます盛んに黄体ホルモンを分泌して妊娠初期を支えます.
  • ■E2:エストロゲン(卵胞ホルモン)検査、P4:プロゲステロン(黄体ホルモン)
    受精卵が着床しやすい環境が整っているかを確認するために行います(黄体機能不全の有無)。

〇いつでも行うことができる検査

*月経周期のいつでも行うことができる検査です.

  • ■ AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査
AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査について

〜卵巣の予備能(在庫)と卵子の「質」を知る〜

1. AMHとは:卵子の「残り」を知る指標
AMH(抗ミュラー管ホルモン)とは、卵巣の中で発育を始めたばかりの卵胞から分泌されるホルモンです。女性が一生の間に排卵できる卵子の数は生まれた時に決まっており、増えることはありません。AMH検査は、卵巣内にあとどのくらいの卵子が残っているか(卵巣予備能)を推測するためのものです.

2. AMH検査の重要性と活用
AMHの値はあくまで卵子の「数」を推測するものであり、卵子の「質(受精のしやすさなど)」を示すものではありません。質に関しては、主に年齢による影響が大きいとされています。しかし、検査には以下のメリットがあります.

  • 妊活プランの可視化と治療計画: 自然妊娠を待つ余裕があるか、早めに専門医へ相談し、治療のスピードを検討する材料になります。体外受精などの治療を行う際、AMHの値によって排卵誘発剤の量を調整したり、採卵できる個数を予測したりします。自分に合った最適な治療法を選ぶための「羅針盤」のような役割を果たします.
  • 隠れた不妊原因の早期発見: 数値が極端に高い場合は「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」のように、卵胞がうまく育たず排卵が阻害されているケースも考えられます.
  • 禁煙の徹底: 喫煙は卵巣の老化を早め、卵子の質を著しく低下させることがわかっています。パートナーと一緒に禁煙に取り組むことが理想的です.

AMH検査は、今の卵巣の状態を知るための“地図”のような役割を果たします。不安なことや気になる点があれば、どうぞ遠慮なくご相談ください.

  • 甲状腺機能検査
  • PRL(プロラクチン)検査
  • テストステロン検査
  • ビタミンD検査
  • 風疹抗体検査
  • 空腹時 血糖・インスリン採血
  • 抗精子抗体
  • ■ 甲状腺機能検査
    甲状腺ホルモンの値が高くても、低くてもよくありません。甲状腺機能に問題があることで、ホルモンバランスが崩れやすく、無排卵や無月経になることもあります.また、着床障害、流産の要因になることもあります.
  • ■ PRL(プロラクチン)検査
    プロラクチンは、母乳をつくるためのホルモンです。妊娠していないのにプロラクチンが高い場合は、排卵障害が起こることがあります.原因をさらに調べるために脳のCTやMRI検査をすることもあります.
  • ■ テストステロン検査
    男性ホルモンの1つで、この値が高いと排卵障害を起こすことがあります.インスリン値が高くなると、テストステロン値も高くなることから、インスリン検査をすることもあります.
  • ■ ビタミンD検査
    ビタミンDが欠乏していると習慣性流産や初期流産のリスクが有意に高いことが研究で示されています.当院ではビタミンDが基準値より少ない患者様に対してビタミンDサプリを処方しております.
  • ■ 風疹抗体検査
    風疹抗体がない女性が妊娠初期に風疹にかかった場合、胎児に感染し先天性風疹症候群になることがあります.妊娠前に抗体価を調べ、結果によって予防接種を行います.
  • ■ 空腹時 血糖・インスリン採血
    インスリン抵抗性(インスリンの効きが悪くなっている状態)がある方は排卵障害を起こしている場合があるので、生理周期が長い方が主に行う検査です.
  • ■ 抗精子抗体
    精子を異物とみなし、動きを止めたり受精機能を阻害する抗体があるか調べる検査です.フーナーテストは連続で運動精子がいない場合に行います.抗体が陽性の場合は自然妊娠が難しいため人工授精や体外受精といった治療が必要になります.費用は自費になりますので約5000円かかります.

男性側の検査

  • 精液検査(精子濃度、運動率、正常形態率などを評価)
    • ① WHO基準に合わせた顕微鏡検査
    • ② SQA-V検査
  • 精液培養検査
  • 尿クラミジア検査

■ 精液検査

男性の検査は、まずは精液検査からです.精液は精漿と精子の混合物で、精嚢と前立腺の分泌液である精漿が精液の98~99%を占め、1~2%が精子になります.

  • ① 顕微鏡検査:精液の全量の測定と顕微鏡で精子の数、運動精子の数などを調べてWHOが発表する精液所見と照らし合わせて判断をします.
  • ② SQA-V検査とは:
    SQA-Vは、精子の「量」「動き」「質」を一度にまとめて評価できる、より精密な精液検査機器です.一般的な精液検査では把握しにくい「精子のスピード」や「受精に関わる力」まで、正確に数値化することができます.身体への負担はなく、短時間で結果が分かる検査です.より詳しく精子の状態を知りたい方や、人工授精・体外受精などのステップアップを検討されている方に適しています.
精子の状態は常に一定ではなく、日々の睡眠不足、ストレス、喫煙、過度な飲酒、体調などによって大きく変動します.もし1回目の検査で基準値より低い結果が出たとしても、決して悲観しないでください.生活習慣を見直し、体調を整えることで、その後の検査結果が大きく改善することは珍しくありません.当院では、数値の結果だけでなく、生活習慣のアドバイスも含めてご夫婦のサポートをさせていただきます.

治療の流れ

不妊治療は、負担の少ない方法から段階的に進めます

不妊治療は、身体的・精神的・経済的な負担を考慮しながら、 タイミング法 → 人工授精 → 体外受精(IVF)→ 顕微授精(ICSI) の順に進めるのが一般的です。年齢や検査結果により、早めのステップアップを提案することもあります。

自然に近い方法

ステップ① タイミング療法【妊娠しやすい時期を知る】

排卵日を予測し、妊娠の可能性が高い時期に合わせて夫婦の生活を持つ方法です。

ステップ② 人工授精【精子を子宮まで届ける】

採取した精子を子宮内に直接注入し、卵子と出会いやすくするサポートです。

専門的な技術

ステップ③-1 体外受精【体の外で受精を見守る】

卵子と精子を取り出し、体外で受精・培養して成長した卵(胚)を子宮に戻す方法です。

ステップ③-2 顕微授精【精子を卵子に直接注入】

顕微鏡を見ながら、1匹の精子を卵子へ直接注入して受精を助ける高度な技術です。

ステップ③-3 胚移植【卵(胚)を子宮へ戻す】

受精・培養して育った卵(胚)を、子宮へそっと戻して着床を待つ大切なステップです。

不育症について

妊娠は成立するものの、流産や死産、早期新生児死亡などを繰り返してしまい、結果的に赤ちゃんを授かることが難しい状態を「不育症」と呼びます。

一般的に、2回以上の流産や死産を経験された場合は不育症の可能性を考慮し、原因を特定するための詳しい検査をおすすめしています。

◆流産は決して特別なことではありません

「なぜ自分ばかり……」をご自身を責めてしまう方も少なくありませんが、流産は妊娠全体の約15%前後に起こる、決して珍しくない現象です。
特に妊娠初期(12週未満)に起こる流産の多くは、受精卵の偶発的な染色体異常が原因です。事前の予防や医療による治療で防ぐことはできません。
なお、女性の年齢が上がるとともに卵子の質が変化するため、流産の発生頻度も上昇することが知られています。

  • ◆不育症の背景にある主なリスク因子

流産を繰り返す場合、以下のような背景(リスク因子)が隠れていることがあります。検査によってこれらを見つけ出し、適切に対処することで、次の妊娠を継続できる可能性が大きく高まります。

  • ・抗リン脂質抗体症候群(こうりんしっこうたいしょうこうぐん)
    自分の体を攻撃してしまう異常な抗体(自己抗体)が血液中に存在することで、血栓(血の塊)ができやすくなる体質です。低容量アスピリンやヘパリンを用いた抗凝固療法を行います。
  • ・子宮の形態異常
    生まれつき子宮の形状に特徴がある場合(双角子宮や中隔子宮など)や、子宮筋腫・ポリープなどがある場合、胎児が育つスペースや胎盤の形成が妨げられることがあります。
  • ・夫婦どちらかの染色体構造の特徴
    ご夫婦のいずれかに染色体の構造的な特徴(均衡型転座など)がある場合、受精卵に染色体の過不足が生じやすくなり、流産につながることがあります。事前の遺伝カウンセリングや、確率を踏まえた妊活の計画を立てることができます。
  • ・内分泌(ホルモン)の異常
    甲状腺機能の異常(亢進症・低下症)や、糖尿病などの糖代謝異常、黄体機能不全などがある場合、妊娠の維持に悪影響を及ぼすことがあります。
  • ・血液凝固因子の異常
    第XII因子欠乏症やプロテインS・プロテインCの減少など、血液が固まりやすい遺伝的・体質的な要因です。抗リン脂質抗体症候群と同様に、胎盤の血流障害を防ぐ治療を行います。
  • ・ネオセルフ抗体(抗β2GPI/HLADR複合体抗体)
    近年明らかになった着床不全や不育症に関わる抗体です。
  • ・その他のリスク因子
    高年齢、喫煙、過度の飲酒、重度の肥満や痩せすぎなども流産のリスクを高める要因となります。ご夫婦での生活習慣の見直しも重要な治療の一環です。
  • ・原因が特定できない「原因不明」について
    不育症の検査を行っても、約半数の方は明確な異常が見つからない「原因不明(偶発的流産の繰り返しを含む)」と診断されます。

当院で使用しているサプリメント

女性向けのサプリ

サプリメント名 期待される効果・対象となる方
DHEA25mg DHEAは性腺ホルモンの原料となる物質です。妊娠率の向上、着床率の改善、卵子の質の向上などの報告があります。採血の検査後、当院の基準値以下の方に処方します。
メラトニン 抗酸化作用のあるホルモンです。卵子の質の改善に効果あると報告されています。
イノシトール PCOSの方、インスリン抵抗性のある方に処方します。脂肪の代謝を助ける働きがあると報告されています。
アルギニン 主に体外受精・胚移植を行う方で、子宮内膜が薄いと診断された方に処方します。子宮内膜の血流を改善する効果が報告されています。
ビタミンD ビタミンDが低いと流産率が上がるという報告があります。血液検査後、当院基準値以下の方に処方します。
レスベラトロール ポリフェノールの一種で高い抗酸化作用のある物質です。卵巣機能が低下していると判断される場合に処方されます。
亜鉛 卵子の成熟やホルモンバランスの維持に必要な成分です。抗酸化作用があるので卵子の老化を防ぐ働きも期待できます。

男性向けのサプリ

サプリメント名 期待される効果・対象となる方
還元型コエンザイムQ10 抗酸化作用とミトコンドリア活性化作用のある物質です。数ヶ月継続することで精子濃度、運動率、DNAの質を改善する効果が期待されています。
亜鉛 亜鉛は精子の形成、生成、運動率向上に不可欠な成分と言われています。慢性的な亜鉛不足は精子の質・量低下を招く恐れがあります。

プレコンセプションケア

1⃣ 妊娠しやすい身体づくりのために

妊娠は、卵子と精子が出会えば必ず成立するものではありません。
女性のホルモンバランスや子宮・卵巣の状態だけでなく、男性の精子の状態、そしてお二人の生活習慣も妊娠しやすさに大きく関係しています。

もちろん、生活習慣を改善したからといって必ず妊娠できるわけではありません。しかし、身体を整えることは、自然妊娠だけでなく人工授精や体外受精などの治療成績にも良い影響を与える可能性があります。
今日からできる「妊娠しやすい身体づくり」を始めてみましょう。

① 適正体重を目指しましょう

痩せすぎも太りすぎも、妊娠しやすさに影響します。

【女性の場合】

  • BMI 18.5未満:排卵障害や月経不順のリスク
  • BMI 25以上:排卵障害やPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスク

【男性の場合】
肥満は男性ホルモンの低下や、精子数・運動率の低下と関係しています。
極端なダイエットではなく、適正体重(BMI 18.5〜24.9)を目標にゆっくり体重を整えていきましょう。

② バランスの良い食事を心がけましょう

卵子や精子は毎日の食事から作られています。

おすすめしたい食品
  • 緑黄色野菜・果物
  • 魚(青魚を含む)
  • 大豆製品・卵
  • ナッツ類・オリーブオイル・全粒穀物
控えめにしたい食品
  • ファストフード
  • 加工食品
  • 清涼飲料水
  • お菓子の食べ過ぎ

特に地中海食(野菜・魚・オリーブオイル中心の食事)は、女性の妊娠率や男性の精子の質に良い影響を与えることが報告されています。

③ 禁煙は夫婦で取り組みましょう

喫煙は男女ともに妊娠率を低下させます。受動喫煙も影響するため、ご夫婦で禁煙することをおすすめします。

  • 女性への影響:卵巣機能の低下、卵子の老化、流産率の上昇
  • 男性への影響:精子数の減少、運動率低下、精子DNA損傷

④ 良質な睡眠をとりましょう

睡眠中にはホルモンの分泌や身体の修復が行われています。睡眠不足や夜更かしはホルモンバランスを乱し、排卵や精子形成に悪影響を及ぼす可能性があります。

理想の睡眠目安:毎日 7〜8時間程度
寝る時間・起きる時間をできるだけ一定に保つことも大切です。

⑤ ストレスをため込みすぎないことも大切です

慢性的なストレスは自律神経やホルモンバランスを乱し、排卵や性機能へ影響することがあります。
軽いウォーキング、ヨガ、趣味の時間、入浴、十分な休息などを取り入れ、頑張りすぎないことも妊活の大切な一つです。


ご夫婦それぞれへのアドバイス

女性へのアドバイス

・月経異常は早めに相談しましょう
月経不順、無月経、強い月経痛、不正出血がある場合は、排卵障害や子宮内膜症などが隠れていることがあります。

・適度な運動を続けましょう
ウォーキングや軽い筋力トレーニングなどを週150分程度行うことで、血流改善やインスリン抵抗性の改善が期待できます。

男性へのアドバイス

男性側にも約半数の不妊原因が関係するといわれています。

・禁欲しすぎない
長期間の禁欲は古い精子が増え、運動率やDNAの質が低下することがあります。排卵期には1〜2日おきの性交がおすすめです。

・精巣を温めすぎない
長時間のサウナ、長湯、膝の上でのPC使用、締め付けの強い下着などは控えましょう。

※精子は約3か月かけて作られるため、生活改善の効果も数か月後に現れます。

2⃣ 妊娠を希望する方におすすめの栄養素・サプリメント

サプリメントは「薬」ではありませんが、日常の食事で不足しやすい栄養素を補う目的で役立ちます。

栄養素 おすすめする方 主な働き
葉酸(400μg/日) 女性(必須) 赤ちゃんの神経管閉鎖障害の予防。妊娠を考え始めたら内服を始めましょう。
ビタミンD 男女 不足している方では妊娠率や精子機能との関連が報告されています。
女性 貧血予防と子宮内膜の環境維持。
亜鉛 男性 精子形成や運動率の維持に重要です。
コエンザイムQ10 男女 細胞のエネルギー産生を助け、卵子・精子の質を保つ可能性があります。
オメガ3脂肪酸
(EPA・DHA)
男女 炎症を抑え、細胞膜の働きをサポートします。

※サプリメントは食事の代わりにはなりません。持病のある方や内服薬がある方は事前にお申し出ください。

メッセージ

妊娠しやすい身体づくりは、特別なことを始めることではありません。
毎日の食事や睡眠、適度な運動、禁煙など、小さな積み重ねが将来の妊娠につながる大切な土台になります。

当院では、お一人おひとりの年齢や体質、ライフスタイルに合わせて、生活習慣のアドバイスから不妊検査・治療まで総合的にサポートしています。不安なことや気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

患者さまへのメッセージ

不妊治療は、単に原因を探すためだけのものではありません。

お二人の現在の状態を正しく把握し、妊娠という目標に向かって最適な道筋を一緒に考えていくためのものです。

当院では、ご夫婦それぞれのお気持ちやライフスタイルを大切にしながら、安心して治療を受けていただける環境づくりに努めています。小さな疑問や不安も、どうぞお気軽に医師・スタッフへご相談ください。

よくある質問

Q:AMHが低くても妊娠できますか?

A:AMHが低いから妊娠しにくいと不安になる方も多いですが、必ずしもそうではありません。卵子の数が少なくても、その周期に質の良い卵子が1つ排卵されれば妊娠の可能性は十分にあります。

Q:何歳まで保険診療ですか?

A:検査、タイミング指導、AIHに関しましては年齢制限はありません。体外受精は40歳未満の方は胚移植の回数は6回まで、40~43歳未満の方は胚移植3回までとなります。

Q:ご主人だけでも受診できますか?

A:奥様が当院での検査、治療中、または予定している方はご主人だけでも受診いただけます。

Q:他院から転院できますか?

A:現在お罹かりの医療機関からの紹介状をお持ちいただければ転院可能です。

Q:生理でも受診できますか?

A:可能です。生理中の検査もありますので遠慮せずご予約のうえご来院ください。

Q:通院は仕事と両立できますか?

A:治療法により通院回数が異なります。可能な限り通院負担を減らせるスケジュールをご提案いたします。